アーミッシュとは、アメリカにいる質素な暮らしをする人たち
アーミッシュが気になる人「アーミッシュに興味があります。アーミッシュのコミュニティで過去に起きた事件について、ネットで少し見かけました。事件について、詳しく知りたいです。」
こういった疑問に答えます。
✓もくじ
1.アメリカに住む「アーミッシュ」とは?
2.アーミッシュの魅力。現在も続く、シンプルな生活とは?
3.アーミッシュの生活とは?厳格なキリスト教徒で、厳しいルール
4.アーミッシュとは、仲良くなれない?
5.アーミッシュとはちょっと違う「メノナイト」とは?
この記事を書いている私は、アメリカ在住3年。現在は、ミネソタ州在住です。
夫・アダムは、アメリカ・ウィスコンシン州出身です。そのため、アーミッシュが馬車で移動しているのを日常的に目にしていました。
また、ウィスコンシン州の田舎に住んでいる友人宅に行くと、家の前をアーミッシュが通るのを毎回見かけます。
この記事は、アダムや彼の家族から聞いたアーミッシュに関する情報や、インターネット上で収集した情報(英語記事を含む)を基に、まとめたものです。
1.アメリカにいる「アーミッシュ」とは?
アメリカに住んでいる「アーミッシュ」という人たちを知っていますか?
今回は、アーミッシュについての基本情報をまとめていきます。
■アーミッシュとは?
アーミッシュとは、アメリカの東側地域に住んでいる、厳格なキリスト教信者のコミュニティのことです。
アーミッシュは、テクノロジーが発達した現代においても、伝統的な生活を守っています。
テクノロジーに頼らずに、風車や水車を利用して少量のエネルギーを得て生活している人たちです。
■テクノロジーに頼らない、アーミッシュの生活とは?
「20世紀にもなって、テクノロジーを使わずに生活している人なんているの?」って思う人も多いはず。
アーミッシュの暮らしに関して、簡単に触れておくと…
などなど。「え、江戸時代?」って、日本人なら耳を疑うような生活ぶりです。
しかし、アーミッシュの人にとっては、それが普通なのです。
✓アーミッシュに関する本
↑アーミッシュに関して書かれている本『アーミッシュ―もう一つのアメリカ』もあります。興味がある人はぜひ。
■アーミッシュが質素な生活をする理由とは?
アーミッシュは、厳格なキリスト教徒です。
■「普通」とは違い過ぎる、アーミッシュの基礎情報
・ドイツ・スイス発祥、1700年代初期に迫害から逃れ、アメリカに移り住んだ
・厳格なキリスト教徒
・テクノロジーに頼らず生活(コミュニティによって最低限は使う)
・外部(近代社会)との接触を避けている
・オハイオ州、インディアナ州、ペンシルヴァニア州を中心に、アメリカ・カナダで暮らす
・シンプルな暮らし(衣食住)
■アーミッシュの人口とは?
アメリカ国内で暮らすアーミッシュの人口は、2022年時点で36万人以上となっています。
画像引用:Wikipedia/List of U.S. states by Amish population
↑アーミッシュコミュニティの分布図(2021年)
ペンシルベニア州には約8万7千人、オハイオ州に8万人以上のアーミッシュが暮らしています。(2022年)
ちなみに私が住むエリア、ウィスコンシン州は2万4千人、ミネソタ州には5千人以上のアーミッシュが暮らしています。(2022年)
参考:Wikipedia/List of U.S. states by Amish population
アーミッシュの人口は年々増加傾向にあり、1992年~2017年のうちに約150%も人口が増加したそうです。
主な理由にはやはり、子だくさんが良しとされることと、医学発達による死亡率の減少が挙げられます。
また、子だくさんで世話が大変であっても、コミュニティ内でみんなが助け合うので、何とかなるのです。
✓アーミッシュ女性は子どもをたくさん産まなくてはならない
アーミッシュの女性は、8~12人の子どもを産んで、周りから尊敬されます。(キリスト教徒なので、子だくさんがいいとされます。)
なので、お尻の大きい安産型の女性が理想的です。
クリスチャンにとって、「子ども=神様からの贈り物」です。
同時に、アーミッシュにとっては「子ども=働き手(経済的資産)」でもあるので、子どもが多いほど働き手が増えるということです。
2.アーミッシュの魅力。現在も続く、シンプルな生活とは?
それでは、アーミッシュの生活の様子について、もっと深くのぞいていきましょう。
■アーミッシュの暮らしとは、シンプルの極みである
✓アーミッシュの暮らし
・テクノロジーに頼らない生活なので、原始的
・車も持たないので、馬車で移動
・農機を使わず、馬や牛を使って畑を耕す
・重機も機械も使わず、コミュニティ総出で家を建てる
・家具はすべてハンドメイド
・服、靴、帽子…すべて手作り
・電気なし→ランタン、ロウソクやオイルランプ、薪による火を使用
・水道なし→井戸水を使用
・シャワーもお風呂もあまりしない(ライフスタイル上、頻繁にできない)
・水洗トイレなし→深~く穴を掘ったボットントイレ
・日の出とともに起きて働き、暗くなったら寝る生活
アーミッシュはこんな感じの生活を、当たり前に送っているのです。
アーミッシュの暮らしに関して、詳しくは、アーミッシュの生活って?シンプルな暮らし方を覗きたい。で解説しています。よかったらご覧ください。
✓アーミッシュの薬
↑アーミッシュの秘伝レシピで作られた、かゆみ止めクリームもあります。
乾燥肌によるかゆみや、ウルシによるかゆみ、赤み肌、切り傷や軽いやけどに効く塗り薬です。(日本で言ったらオロナイン的な感じ?)
日本のアマゾンで買うと1万円超えですが、アメリカのアマゾンで買って個人輸入すれば、送料込みで4,000円以下で買えます。
アメリカのアマゾンを使って購入する方法は、【超簡単】アメリカ版のAmazonアカウントの作り方・手順。英語が苦手でも大丈夫!で解説しています。よかったらご覧ください。
✓アーミッシュとスマホ
「もちろんスマホもなし!」と言いたいところですが、さすがにこの時代に「完全にテクノロジーなし」は相当難しいのでしょう。
コミュニティによっては、ビジネスに必要な場合は、スマホやパソコンを使っていいことになっています。
(戒律が本当に厳しいコミュニティもあります。)
(アメリカでアーミッシュを見かけても、相手を尊重して隠し撮りなどはやめましょう。)
✓アーミッシュの服装(男性)
・あごひげを生やす
・無地のシャツ
・吊りズボン
・帽子(つばの長さも規定あり)
・腕時計禁止だが、懐中時計の所有は可
↑こんな感じの帽子。
✓アーミッシュの服装(女性)
・無地のワンピース(ボタンもジッパーも禁止)
・エプロン
・被り物(ボンネット)を頭につける
・肌の露出禁止
・化粧、アクセサリー禁止
✓アーミッシュの稼業
アーミッシュたちは、上記のような内容で現金収入を得ています。
↑アーミッシュのハンドメイドのキルト。
アメリカ国内において、アーミッシュと言えば、質が高くて長持ちすることでめちゃくちゃ有名です。アーミッシュの家具を販売しているお店もあります。(もちろんアーミッシュが経営しています。)
私も実際に、アーミッシュの家具を売っているお店や農作物を販売しているアーミッシュの女性を見かけたことがあります。
✓アーミッシュの石けん
アーミッシュが作っているハンドメイドのソープもあります。
アメリカのアマゾンで探したら売っていました(ちょっとびっくり)。日本への送料も含めて、3,000円ほどで買えます。
アメリカのアマゾンを使って購入する方法は、【超簡単】アメリカ版のAmazonアカウントの作り方・手順。英語が苦手でも大丈夫!で解説しています。よかったらご覧ください。
ナチュラル素材なので、ヴィーガンの人でも使えます。
アーミッシュの手作り石けんは、日本のアマゾンでは売られていません。
■私は、アーミッシュになりたいとは思わない。
断言します。
私はアーミッシュになりたいとは思いません。
その理由は、そもそもキリスト教徒じゃないから。そして、ライフスタイルが大変すぎるからです。
だって洗濯機も使えないんですよ。洗濯するのはどうせ女性でしょ?私は嫌です。
夫・アダムにも聞いたら、「コミュニティ自体はすばらしいと思うけど、アーミッシュになったら、なまけられないから」って。
確かに、「今日は日曜日だから、ちょっとゲームしてのんびりして、テレビでゴルフでも見るか~。」なんて日は、絶対に来ないのです。
コミュニティ全体で納屋(なや)や家を建てるとなれば、コミュニティ総出で1日中、何日間も働かなくてはなりません。
たとえ気分が乗らない日でも、絶対にやらなければならないのです。働かざる者、食うべからずなのです。
■アーミッシュの暮らしに憧れる人は多い。
「自給自足でテクノロジーに頼らない、シンプルな暮らし」
…これだけ聞けば、美しい響きです。
「どんなに素敵な生活を送っているのだろう」…とアーミッシュの暮らしにあこがれる日本人も、いるのではないでしょうか?
実際に、多くのアメリカ人がアーミッシュにあこがれています。
実際のところ、たいてい1~2カ月でアーミッシュの生活スタイルにギブアップして、こちらの世界(イングリッシュの世界)に戻っていきます。
3.アーミッシュの生活とは?厳格なキリスト教徒で、厳しいルール
アーミッシュの生活は、とても伝統的です。
テクノロジーを使うと、すべてが楽になります。だからアーミッシュは使わないのです。
■アーミッシュの暮らしとは…働かざる者食うべからずなのだ
アーミッシュは男女ともに、毎朝5時に起床し、日の入りまで働きます。
夜9時までには、全員ベッドに入っています。
老若男女問わず、アーミッシュは一日中、毎日、一生働かなくてはいけません。
厳しい暮らし、不自由で大変な生活ほど神に愛されると信じているのです。
■アーミッシュに共通するルールとは?
・車、電気、トラクターの使用禁止
・女性は髪を切ってはいけない
・女性はムダ毛の処理禁止
・楽器の所有・演奏禁止
・聖書以外の読書禁止
・アーミッシュの学校に8年間通う
・3教科しか勉強しない
(ペンシルベニアドイツ語、英語、数学のみ)
・離婚禁止
・子だくさん(10人以上)
・LGBTはタブー
などが、どのアーミッシュのコミュニティでも共通しているものです。
■アーミッシュのコミュニティごとに、ルールがある
アーミッシュのコミュニティ(村)ごとに、決まりやルールがあります。
コニュニティのルールや決まりは、そのコニュニティのリーダーである牧師(教父)がすべて決定します。
一度決まったルールを変えることは非常に難しく、変えるとしても、長い時間がかかります。
教父によっては、コミュニティ自体がカルト状態になってしまっているコミュニティもあるようです。
→アーミッシュに関して起こった事件を、【衝撃】アメリカのアーミッシュに起こった事件まとめで解説しています。よかったらご覧ください。
■アーミッシュは、コミュニティの決まりを破ると追放される
例えば、離婚したらもうアーミッシュのコミュニティにいることはできません。もしもあなたがレズビアンやゲイだった場合、カミングアウトしたら追放されます。
アーミッシュのコミュニティから追放される=コミュニティ内で暮らす家族とも友人とも、金輪際会うことも話すこともできません。絶縁しなくてはならないのです。
✓アーミッシュのコミュニティは、閉ざされている
しかし、アーミッシュのコミュニティは外部との接触がほとんどないので、事実が明るみに出ることはありません。
1つのコミュニティの人口が100人ほどで、そのうちの半数が子どもというようなコミュニティもあります。小さな村といったイメージです。
少数ですが、黒人のアーミッシュもいます。
「アーミッシュ」と言っても、数えきれないほどの小さなコミュニティがあり、それぞれで教父の方針や戒律が異なります。所属コミュニティを変える(異動する)ことも可能のようです。
4.アーミッシュとは、仲良くなれない?
アーミッシュは、アーミッシュ以外の人と関りを持たないよう、避けて生活しています。
■アーミッシュとは区別される「イングリッシュ」の人たち
アーミッシュにとって、アーミッシュ以外の人…つまり車を使って移動し、家にテレビがあるような人たちのことを「イングリッシュ」と呼んで区別しています。
「ペンシルベニアドイツ語」というのが、彼らの母国語です。
アーミッシュからしたら、「アーミッシュ以外(外の世界)で英語を話す人たち」、たから「イングリッシュ」なんでしょうね。
■アーミッシュに助けを求めても無駄だった…
ウィスコンシン州に住む友人の車が、泥にハマってしまいタイヤが滑って立ち往生してしまったことがあります。
たまたま通りかかった近所のアーミッシュのに、「僕(←友人)が車を押すから、ちょっとでいいからハンドル操作して、ブレーキを踏んでほしい。」とお願いした友人。
いやいや…ね。ハンドル握ってブレーキを一瞬ふむだけでいいんだよ…って思ってしまいましたが。
アーミッシュはそもそも、イングリッシュ(の人)とは関りを持たないようにしていますし、ましてや車のアクセルを踏むなんて…信仰に反する行為なのです。
結局友人は、家族に電話して助けに来てもらいました。
アーミッシュに囲まれているウィスコンシン州の田舎暮らしって、本当にこんな感じです。家の前を通りかかるアーミッシュは手を振ってくれるけど、それだけ。会話をすることもないし、お互いに名前も知らない。一切関りはない感じです。
✓アーミッシュを題材とした映画『W刑事ジョン・ブック/目撃者』とは?
1985年、ハリソン・フォード主演の映画『刑事ジョン・ブック/目撃者』(原題『WITNESS』)があります。
もちろん、私も観ました。映画を通して、アーミッシュの暮らしの様子(服や家の中など)を見ることができて、とても興味深かったです。
※映画のストーリーはフィクションで、アーミッシュを演じているのは、ただの役者です。
5.アーミッシュとはちょっと違う「メノナイト」とは?
ここまで読んで、アーミッシュについてちょっとわかったかと思います。
最後に、アーミッシュと似ている「メノナイト」という人たちについても、少し解説しておきます。
■アーミッシュとは違う「メノナイト」とは?
メノナイトは、アーミッシュとほぼ同じ生活スタイルをしていますが、車や家電などのテクノロジーを取り入れている人々です。
メノナイト(Menninite、発音:メネナイト)は、アーミッシュと宗教的な信仰がほぼ同じで、アーミッシュ同様、自給自足の生活を基本としています。
メノナイトは、ボランティア活動をたくさん行っている宗教団体です。
アメリカでアーミッシュを見かけて、「あれ?アーミッシュなのに車使ってる!」って思ったら、彼らはアーミッシュではなくメノナイトです。
メノナイトは16世紀のオランダとドイツ発祥で、現在はアメリカ、カナダ、アフリカの国々など、世界中に存在してます。
アーミッシュに比べて、メノナイトのコミュニティによっては、「自動車を運転していい」、「電気を使っていい」など、かなり柔軟です。
✓メノナイトは、アーミッシュとは違う宗派
モルモン教(Mormon、発音:モァメン)ってなんとなく耳にしたことがありませんか?キリスト教会の中のモルモン教という宗派です。モルモン教は、アメリカのクレイジーな宗教団体です。
モルモン教は、アメリカのユタ州に存在します。ユタ州の約70%がモルモン教です。
モルモン教では、
・お茶
・コーヒー
・炭酸ドリンク
・お酒
・タバコ
・ドラッグ
などの刺激物は、一切禁止です。理由は、神が作ったピュア(純粋)なものじゃないから。
モルモン教はキリスト教徒でありながら、一夫多妻制がオッケーなんです。
モルモン教では、「収入の10%を教会に納めなくてはならない」決まりがあります。
以上、アーミッシュについて解説しました。参考になればうれしいです。
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トーマン悠(トーマンはるか)
英語が大嫌いで、英会話に通って英語が話せるようになりました。英検4級だけ持っています。
アメリカ人と結婚して6年、アメリカ在住4年。現在は夫・アダムと、のんびりキャンパー暮らしをしています。
新卒で小学校教員
→半年で退職
→歯科助手
→英会話に通う
→アメリカ6週間1人旅
→北海道移住
→事務員
→夫婦で仕事を辞め、エベレストのベースキャンプまで120㎞を完歩
→アメリカ移住
→レストランでサーバー、3か月で辞める
→歯科助手
→スーパーの青果売り場勤務
→ミネソタ州でキャンパー暮らし
→ホテルの清掃員
→RVパークのスタッフ
現在はアメリカ・ミネソタ州在住です。
目標であった、夫・アダムの奨学金450万円を完済しました(2021年12月末)。
ヒッピー思考で、愛と自由と平和がモットー。
アダム・トーマン
このサイトの英語アドバイザーを担当。
2011~2019年まで、日本各地で英語・英会話講師を経験。
初めて住んだ岩手県二戸市が超大好き。
幼児~大人まで、ビギナー~超上級者まで、幅広く教えてきました。
Make your English your style.
★仮想通貨・米国株を2017年から運用中。
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